いつもの様に、マクロの業界環境や会社の中身などを見ていきたいと思います。
資産運用業界の市場規模
これは検索して見つけたボスコンの調査資料から書き写したものです。2002年~2014年まで年平均約7.5%で資産運用市場は成長しているようです。2014年末で74兆ドルだそうです。約9000兆円ですか? 目が回りますね。自分の個人資産なんて、太平洋に目薬一滴以下のけな気なものですよ。
この中で最大勢力は何と言ってもアメリカ勢。
統計年がバラバラで恐縮ですが、当社はアメリカの資産運用会社の規模で上位15社に入っているようです。PIMCO社はビル・グロス氏がまだ健在の頃のAUMです、あしからず。
BENのAUM、業績等
なかなか時間軸がそろった資料がないので、正確な比較ができませんが、2004年9月~2014年3月までの約10年間、BENのAUMは年平均9.6%で成長しています(市場平均は7.5%でしたね)。
売上高の方も年平均9.2%で成長しています(ただし、今期の見通しは、上記の要因でもっと低いはずです)。
Effective Fee Rateとは、信託報酬収入を平均AUMで割ったもののようです。
営業利益率とAUMの推移を示していますが、要するに規模の経済が働いているというOperating Leverageを言っています。売上高の伸び率が9.2%に対し、Operating Marginの伸び率が12.8%ですから。
成長戦略・株主還元
これは、AUMを増やす(OrganicでもM&Aでも)→Operating Leverageが働く→FCFを適切に管理する、という一見シンプルなものです。
FCFの管理という事ですが、その1でも、発行済み株式総数が毎年2%程度減っていますし、35年連続増配ということで、株主還元を積極的に行う、というスタンスです。
(これが物足りない、というのが投資家の意見ですが)
但し、AUMの中身ですが、債券、株式、オルタナティブ(ヘッジファンドやPEあるいはインフラファンドなど)及び国際投資と分散化させるという分散化を言っています。
ただ、バンガード(バンガード)、Black Rock(iShares),ステート・ストリート(スパイダー)等巨大資産運用会社の主力商品のETF化、ETFのブランド化戦略にはちょっと遅れているような感じがします。
(ただし、このパッシブ投資の流れが、今後ずっと継続するのかどうかはわかりません。今は単にアクティブ系の投信の成績がよくないと批判され、インデックスやETFのような商品が出回っていますが、それが市場のボラティリティを増幅させている側面もあります。ETF自体も複雑化して、当局から規制がかかりそうな雰囲気もあります)
しかしながら、論より証拠、これを見よ、やっぱりBENは偉大な配当貴族企業だ
1987年から2014年3月までのトータルリターン(一応配当利回りは非常に低い企業なんですけど。配当の力は恐ろしいのか?)は、なんとバークシャー・ハザウエイをしのいでいます。
バフェットさんにお金を預けるより、BENさんの方がリターンがよかったといっています。
バフェット爺さん、やっぱり配当したほうがいいんじゃない???(アップルもバークシャーよりいいようですね)
感想
- 過去のトラックレコードは申し分ない(「専門家」の分析では、投信全体の成績は市場平均を下回りますが、投信運営会社の株価は市場平均を上回っているのです)。しかし現在の株式市場での評価は低い。
- 理由は業界トレンドが為替・規制・パッシブ化など逆風にあるから。
- しかし、個人的な意見としては、これは一時的であると考えています。
- 現在、BENに限らず米大手資産運用会社は戦略をグローバル化させており、新興国の富裕層や年金基金の取り込みを積極化させており、AUMはまだ成長余力はあると思います。
- 以上を考えると、BENやBLKを(別にT・Row・Priceでも)ポートフォリオに一枚かませるのは妥当性が十分ある、というのが感想です(投資する際はご自分のご判断で)。
(上記資料はBEN社の2014年3月のIR資料を一部抜粋しています)
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