2015年10月10日土曜日

配当貴族銘柄の紹介 ヌーコア S&P500 Dividend Aristocrats #14 Nucor(NUE)42年連続増配

ヌーコア(ニューコアとも綴られています)は42年連続増配中ですが、なんと鉄鋼業事業者です。シクリカルな素材産業で連続増配を42年も実施しています。

ヌーコアはアメリカ株投資本の日本語訳でしばし採り上げられているはずなので、ご存知の方も多いと思います。

また、日本の大和工業(5444)がヌーコアと合弁会社をアメリカで経営しているので、そちらの関係からご存知の方もいると思います。


早速、テンプレート分析から。



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鉄鋼事業者といっても、当社は電炉事業者で、新日鉄住金、アルセロール・ミタルなどの高炉(ミタルは電炉も持っているが)とやや違います。東京製鉄(5423)や大和工業の類の事業者です。

(以下の説明は、専門家ではないので、かなりおおざっぱですが)
高炉メーカーは鉄鉱石をコークスと一緒に燃焼させて、鉄の塊を作ります。一方電炉は鉄のスクラップを電気で溶かして不純物を除去したあと、再び鉄の塊を作ります。

高炉で作ると、より精緻な鉄の成分が出来やすく高級な仕上がりが期待できます。
電炉で作ると、密度では高炉に劣るものの、安いコストで鉄ができます。一種のリサイクルです。

高炉で作られた鉄の代表が自動車向けです。自動車はより軽く(燃費対策)、より安全性をという相反した課題を高炉メーカーとタイアップして乗り越えていかなければなりません。エンドユーザーと鉄鋼メーカーの密な協業がモノを言います。

電炉で作られた鉄は、例えば建築物に使う、鉄骨や鉄筋です。こういった鉄は規格が決まっているので、いかに安く作れるか、が勝負になります。

かつては高炉メーカーが天下を握っていましたが、都市化とともに鉄くず量も増え、電炉が立ち上がったことや、日本の鉄鋼メーカーの攻勢などもあって、アメリカでは高炉はどちらかといえば斜陽産業化してしまいました(そこをインドのミタル氏に突かれて、買収されたりしましたが)。

一方、日本では高炉といえばかつての国策企業だった(旧新日鉄)ことや財閥の中核(旧川崎)だったこともあり、産業支配力も強いです。電炉メーカーはたくさんありますが、新日鉄住金かJFEの色にすみわけがされているケースが多いです。

大和工業が独立系として気を吐いていますが、この企業がヌーコアは提携しています。大和工業に技術力があるからです。

さて、リーマンショックでこの業界も景色が変わりました。表には出ていませんが、当社も2009年は赤字転落しています。

その後、2011年に売上高が200億ドルに戻ってからは横ばいです。利益も2011年以降横ばいです。EPSも同様な動きです。

足元は残念ながら減収減益の模様です。理由はドル高によるコモディティ安の影響を受けていると思います。

ホットコイル(熱延広幅帯鋼)という鉄のロールの相場は1トン$685だったものが$430へと4割近く下落してしまっています。

当社の事業そのものは、北米市場中心で建築用、造船用、産業用(電子・電気その他)、自動車向け(日本の高炉の人が聞くと、品質面ではまだまだ劣っているとは思いますが)など様々な用途に使われていますが、良くも悪くも中国経済の成長鈍化に影響を受けてしまった感がありますね。

コモディティ安が一巡すれば(ドル高が一巡すれば)、当社業績は緩やかな改善が想定されます。長期で見れば確実に改善するものの、3から7年の景気サイクルで見た場合、ボラティリティが激しいと言わざるを得ません。
増配のほうは、Chevronと同じで、年ベースでみればDPSは辛うじて増配となっていますが、四半期ベースでみた場合、12か月以上増配していない年が最近ではあります。

上記が当社の直近のDividend Historyです。次の12月分の増配発表が連続に向けて期待されるところですね。

最後に比較
代表的な鉄鋼メーカーを拾っただけですが、ヌーコアや大和工業辺りは、よさそうですね。アルセロール・ミタルは赤字でした。新日鉄住金はやっぱり借入金が重たいような印象です。


ヌーコアに関しては、それほど定性的なことは残っていないと思いますので、今回でおしまいです。
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