2015年7月30日木曜日

日経新聞社のフィナンシャルタイムズ買収に関し、他のメディアの再編が必要なのか?





ご存じのとおり、日本経済新聞社がフィナンシャルタイムズを買収するというニュースが世間を賑わせています。

個人的には、思い切ったことをしたなあ、という点と日経がFTをうまく活用できるのか?という点ぐらいしか興味はありません(日経新聞社が一切編集に口出ししていない前提のFTの日本語版ができると購読するかもしれないが)。

それよりダイヤモンドオンラインに記載されたこの記事

書き手は当世随一の論客?といってよい山崎元氏だ。あまりにも切れ味が鋭い記事が多く、最近ではついていけなくなっていたことが多い(特に氏のポートフォリオ理論とか私の理解を超えている)。


この記事はFTを買収して日経に独走されてしまうと、困るのは我々なので、メディアは再編して対抗軸を作るべきで、それによって読み手に取って有利な状況を作るべし、という感じか。
具体的に、どことどこが再編すれば、みたいなことが書いてある。

情報の出し手が日経新聞社に気を遣って、情報コントロールを行うリスクがある、という点を危惧されている。

また、情報データベースの利用料が値上げさせられるリスクなどにも言及されている(日経クイックや日経テレコンのことを指しているのだろうか?)。
日経新聞社の一世一代の高いM&Aのツケを払わされるのは我々だ、という点。




大事なのは規模ではなくコンテンツの内容ではないか?

何となく独禁法的な観点で言わんとすることも理解できるが、現実の世界でそんなことがどこまでうまくいくのか、という点もある。

例えば東芝事件についても、日経は当たり障りのない言及に終始している感があるが、ブルームバーグなどはもっと突っ込んだ記事を書いたりしている。

ロイターやウォール・ストリートジャーナルなど外資系の報道機関は押しなべて中立的に報道してくれる(ことが期待できる、はず)。

最近でもロイターがスバル重工の工場内での外国人労働者の扱いをすっぱ抜いていて、かなりタッチな話だと思った。日本のメディアでは期待できない記事。
週刊ダイヤモンドや東洋経済は、その仮説の正しさには多少の疑問が残るが、かつてはよく「危ない銀行」とか「危ないゼネコン」などかなり突っ込んだ特集記事を書いてくれる。こういった読者寄りの媒体が日刊新聞社(読売・朝日)に買収されてしまって、「記者クラブ」化してしまうと、読者の損にならないか?
(読売や朝日に買収できる体力はないと思うけど)

情報は選択肢が多い方が読み手にとっても有利なはずなので、各媒体でオリジナリティを磨いていただいた方がいい(朝日の方針は好きになれないが)。

情報サービスプロバイダービジネスは、日経テレコンや日経クイックはさすがに競争優位性があるが、日本でもトムソン・ロイター、ブルームバーク、ファクトセットなどは営業をしている。

うちの会社では、ベンチャーのユーザーベース(確かシンガポールで上場したんじゃなかったか?)のSPEEDAという大変使い勝手の良い情報端末がある。
日経テレコンは、制約があるもののネット証券では無料で使えることもある。

山崎氏の再編理論は、なんとなく銀行再編的な発想のような気がします。メディア媒体は規模の経済ではなく、そのコンテンツで勝負できるはずだ。特に日経は経済記事の取り扱い範囲は広いが、中身は正直総花的で、面白くない記事が多い。

各社独自の視点で経済記事を突っ込んで書いてくれた方が、読者も比較が出来ていいはずだ。

企業の情報の出し手が経営上層部であっても、もっと下の中間層辺りに食い込んで、内部告発的な記事を取ってくるとか(難易度は当然高くなるが)、対抗する方法はあるような気がします。

重要なのは読者の我々が、メディアの言っていることを、無批判に受け入れてしまう傾向が多いことかなあ。

たとえば自衛隊なんて、一昔前は、訓練中の飛行機が民家に墜落して、何十億円の機体を損させた税金の無駄遣いと住民の安全を脅かすひどい奴、と散々叩いたくせに、大震災でヒーローになったあたりから、最近の安全保障問題では、「自衛隊員の安全性」に言及するほど持ち上げられる存在に昇華されているんだけど、それってどうよ? とか思わないみたい(もちろん自衛隊員が良い悪いと言っているわけではない。マスコミ得意の手のひら返し)。


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