2015年7月28日火曜日

シスコ・システムズ(CSCO)の変化 CEOの交代





CSCO6月に次期CEOとして、チャック・ロビンズ氏を指名した(7/26日就任)。
今や前CEOとなった、ジョン・チェンバース氏は足かけ20年のCSCOでのCEOとしての役割を終えて、会長に就任する(たぶん12年で会長も引退するのではないか)。


投資家の間では、特にリーマンショック後に退任要求が強かったので(マイクロ・ソフトの前CEOのバルマー氏のように、ITバブル時代の人は古いと思われていた。現にCSCOの業績も伸び悩んでいた)。・

CEOロビンズ氏はちょっと意外だった

私はずっと業績の電話会議を聞いたり、議事録を読んでいたので、ここ数年COOとして、ゲーリー・ムーアという人がいたのを知っていた(映画俳優と同姓同名ですね。あっちの人には比較的ありそうな名前ですが)。
したがって、この人がチェンバース氏の後継者だと思っていました。電話会議中でも、例えば何回かリストラをやっていますが、チェンバース氏がムーア氏の頑張りを称えるコメントを発していました。

ただし、後継者かな、と思う割にはそれほど電話会議では発言しなかったので、ちょっと物足りなさを感じていました(チェンバース氏が喋りまくる)。

しかし、ふたを開けてみれば、営業本部長?だったロビンズ氏がCEOになりました。この人はほとんど電話会議に出ていなかったと思う(もちろん別途製品説明会的なプレゼンはやっていたと思う)。

ちょとサプライズでしたね。

さて、それと呼応するかのように、COOのムーアさんやCIO(開発本部長)など上級経営幹部がごそっと退社してしまいました(アメリカではよくあることです)。ただ、一気に経営陣が総とっかえのような感じになるので、投資家は新経営陣がうまく連携して、この巨大通信システム会社をまとめることができるのか、という不安を持っていると思います。

私も何となくそんな感じがしていました。

選択と集中が進むのか(個人的には歓迎)

その辺を察したのか、CSCOはセットトップボックス事業の売却を発表しました。

個人的には、「おおっ、何か変わるのかな?」という期待を抱かせる出来事です。

CSCOというのは、その買収戦略で有名です。小さめの技術力ある会社を青田買いすることで、自社技術に取り入れる、あるいは成長してライバルになる前に取り込んでおく、というのが目的です。

私がCSCOの株を保有してもう4年程度たちますが、売却は数回しか記憶がなく(たいていはリストラ策の発表とセット)、これほどまとまって売却したのも初めてだと思います(本件売却代金は6億ドルとのこと)。

ロビンズ氏は「ビジネス促進のために引き続きポートフォリオと投資の優先順位を決める」と語ったそうです。

選択と集中が今後も続く可能性があります。噂レベルでは、ストレージ事業の一部も売却する計画と言われていています(これは2013年に買収したばかりのようです)。

これまでSet-Top Box事業は利益率が低く、撤退すべきとアナリストに糾弾されたこともありましたが、チェンバースさんはこだわっていました。

チェンバース氏に指名(正確には取締役会が指名したのでしょうが、指名委員会に推薦したのはチェンバース氏だと思います)されたCEOがチェンバース氏の負の遺産をさっさと片付けてしまうところに、アメリカ企業の経営戦略のダイナミズムが見られます。




安定成長路線に
CSCO自体は、通信会社のLTE投資が終わったので、売上高見通しは高成長が望めない状況です(その代り、リーマンショック後に削られまくった公共向けが改善しつつあるし、民間向けも引き続き堅調)。
また新興国向けも、数量の減とドル高で大きく売上高を落としています。

ただし、それでも年率売上高が5%程度は増加が見込めそうで、利益の伸び率は売上高の伸び率以上を、FCFの半分は投資家に配当か自社株買いで還元するとコミットしています。
したがって、増配率も年率8%前後を個人的には期待している銘柄です。

営業マンがCEOになった以上、CSCOの屋台骨?ともいえる、顧客ニーズに合わせたアーキテクチャー(設計思想)志向は今後も生き続けたうえで、利益率の改善に取り組んでいくのかなあ、というイメージを持っています。
社内を早く掌握してくださいね(チェンバース氏は一応、会長として1年程度は残るし)。

引き続きホールドの意向です。といいつつ、来月初旬に予定されている決算(注:5月~7月期)で、また株価の乱高下も予想されます。いつものこととはいえ、奇問です。

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